(24)ニーズの球理論
(気付いてみると、ネットワークサロンは22年目となりました。以下は10年以上前に書いたものです)今年はネットワークサロン発足ちょうど10年がたちます。本当に早いものです。先日の理事会・総会でも10周年記念をやるかどうか?とちょっと話題には出ましたが、これまでも何もしたことがないのでとりあえず何の予定はありません。
さて、前回どこまで進んだかも忘れてしまったため時間の流れを少しさかのぼり、面白い過去の資料を発掘したのでそれを紹介したいと思います。
2001年11月4日に誕生した「ニーズの球理論」。2000年秋から取り組んだ地域の様々な方たちとのワークショップの中で生み出された「福祉資源がつくられるまでの仕組み」をオリジナルの理論化したものです。当時は、ほんの遊び心でカッコよく理論なんてつくってみて、その場の10数名で共有してそれきりになっていたいわば幻に近い怪しいペーパーですが、最近改めてこの当時みんなと導いた普遍性を再認識しています。
地域に何か施設や事業、サービスなどが実現するためには図の左にある「ニーズの球」をつくり、てこに上にのせて、右側を押して、球を転がし、下のいれものに入れるプロセスが必要になるという仕組みをこれまでの資源がつくられてきた背景を探りながらまとめたものです。
ニーズには「時代背景」(国の施策の流れ、制度の状況)と「地域事情」(その地域の行政が必要や効果を意識しているかどうか)と「利用希望」(利用のニーズが客観的にわかる)の3要素が必要でそれらを収集し、バランスよくつくる人材が必要です(球つくり師とも呼べる)。そして、この球のコストがかかるほど右の押す力が必要になります。そして、球を転がすためにてこの右側を押す力ですが、これは実施に責任を持つ実施主体と実際に運営する運営主体、実施の裏付けとなる資本(お金や施設、設備)の3つの要素で成り立ちます。これら3者が同じ主体であれば一気に押せますが、行政とNPOなどの協働となると、協力体制が必要になるわけです。さらに、面白いのが下の矢印である支点を球側に移動させる力の存在です。これはなくても一定以上の力があれば球は転がりますが、左にずらすことができれば力は少なくて済むわけです。これが、市民運動として展開するNPOの力の見せ所です。地域ぐるみの運動にしたり、研究活動を連携したり、異分野とのタイアップで付加価値をつけたり、色々な方法があるのです。さらに大事なポイントとして
①うまく球をつくること(球をつくるのは誰(どこ)か?)
②支点をできるだけ球寄りにもっていくこと(誰(どこ)がやるのか?)
③関わる人(機関)が多いほど、できた後に有効活用が可能になる
が挙げられています。これをつくった10数年前に何をどこまで考えていたかわかりませんが、確かに核心をついているこの理論をみんなでこの時期につくった重みを感じています。