(25)受賞の報告とお礼

以前2004年に博報賞という賞をネットワークサロンが受賞したというお話を紹介しましたが、2010年6月にネットワークサロンでの活動が評価されて内閣府から「女性のチャレンジ賞(特別部門【新しい公共】)という賞をもらいました。

博報賞は団体としての受賞でしかも慢性金欠時期に副賞の百万円に目がくらみ受けましたが、授賞式の居心地の悪さやら報道をめぐるの苦い経験もあり、今回の話があった時に受賞しようか悩んだのですが、二つの理由で受けることを決めました。

一つは表彰のテーマが「新しい公共」だったことです。主に福祉分野での活動をしてきながら、自分を福祉事業者とは思えない違和感があり、自分のやってきたことは何かいつもわからずいましたが、まさにこの「新しい公共」はしっくりきました。新しい公共で賞をもらうのなら、それは私個人の問題ではなく今まで一緒に活動の中でつながってきたたくさんの人たちも含めて評価されたことになるとも思ったのです。

そして、もう一つは経済産業省からの推薦を受けたことです。この賞は各省庁もしくは都道府県から推薦された人たちから選ばれることになっているのですが、私を推薦してくれたのが北海道でもなく、厚生労働省でもなく、経済産業省だったのです。今の段階でネットワークサロンの活動が経済産業方面から評価されることは、異分野の融合や連携・協働が重要になるこれからの地域づくりの上では非常に大きな意味があります。

と、真面目な報告はこれくらいにして、表彰式の裏話を少し紹介します。

表彰式の会場は「総理大臣官邸」。しかも表彰にあたっては午前中の表彰式、お昼を挟んで全国会議(お勉強会)、そして大臣も複数同席する懇親会の3部構成という一日仕事でした(当時勤めていた大学からは出張扱いのお許しが出ました)。集合は内閣府に9時半まで、ぎりぎりに到着すると名刺を渡して何やら親しげに私に話しかける男性がいました。誰かも確認せず形式的にあいさつをして、席について周囲を観察してみると…事前の連絡では「同行者も1名は出席可能」となっていたのですが、同伴者なんて思いもつかず一人で呑気に行ったら、どうやらほとんどの人たちが同伴者(家族や活動仲間)を連れての参加の様子です(実際、表彰の際も写真撮りまくりだった)。私といえば、かしこまった晴れがましい状況になんとも居心地の悪さを感じ、話す相手もなく長い待ち時間を経て、総理大臣官邸に移動。なんと、内閣府と総理大臣官邸は向かいなのに大型バスにて移動。まぁ、警備などの問題もあるし、その後の移動の問題もあるのでしょうが、ちょっとびっくりしました。そのバスでも前述の男性が私の隣に座り、いろいろと話しかけてきました。さらに、総理官邸の中でも「この会談が組閣の際に大臣たちが並んで写真を撮るところですよ」なんて解説をしてくれます。なんだか親切な人だなぁと思いつつも、「なんで、この人ついてくるんだろう」と単独行動を好む私は待ち時間に官邸のふかふかのレセプションルームの周囲を一人でぶらぶら探索をしていました。後になってわかったのですがその男性の正体は私を推薦してくれた経済産業省からの付添人だったらしく、私はそんなことも全く知らずに「なんだか知らないけどついてくれる人」としてしか認識せずに、単独行動していたのでした!(付添人さん、失礼しました。ごめんなさい)

懇親会でも一人名刺交換もせず官邸のごちそうを一人黙々と食べ(なかなか美味しい料理でした)、樋口惠子さんなど著名な人が写真を撮ろうとしていたところで、にこやかに「シャッター押しましょうか?」とサービスして、懇親会終了間際に駆け付けた当時の総理大臣の菅さんをチラ見して飛行機に飛び乗って帰ってきたのです。やっぱり、晴れがましさがとことん似合わないことだけは再認識しました。今回の副賞は重たいクリスタルの盾。家でラッキョウ漬をつくる際に重石にしようとして母に苦笑されたのです。

ということで、たくさんの人たちのおかげで賞をもらい、珍道中の総理官邸を経験することができました。ありがとうございました!