(34)自主的な勉強会「YYすきっぷ」からの気付き、発信

2005年9月にネットワークサロンの組織運営を考える自主勉強会が開催されました。私の意図としてはそれまで増え続けるニーズに追いまくられて独断の動きが多くなっていて組織としての運営ができていなかった反省があり、マネジメントを担う人が増えてほしいという思いがありました。

有志12人が集まり、初回にそれぞれの問題意識やこれからの希望などを語り、それぞれの思いをもとにその会議は『YYすきっぷ』と名付けられました。YYは「わいわい」と楽しく話すという意味と、形が手をつないでいる様子であること、すきっぷは「スキルアップ」の略でその二つを合体したのです。

まずは実際のマネジメントを具体的にやってみようと当時春採ぽれっとの今の物件購入にて空き家になった旧貝塚ぽれっとの古いお屋敷の活用法について企画してみることにしたのです。みんなで出し合ったアイディアを組み合わせた多機能事業について企画して、事業計画、予算をシミュレーションしました。その結果、当時の私は以下のようなまとめをしました。今思い返すと非常に普遍的なことを発信していたなぁと思いますので、そのまま紹介します。

〔今回の会議を通して〕実際の事業プランを立てましたが、思ったよりもいろいろな条件があり難しかったと思います。実は、事業化を考える上で指標となる要素が大きく3つあります。事業に対するニーズ(必要としている人の数、切実度、地域にとっての意義など)採算性 (採算がとれるかどうか)事業化できる実現可能性(人手や物、拠点の状況、技術面などが確保できるか)先日の話し合いの中では、参加者によってこれらの重要度に差が見られました。例えば、採算性を重視する人がいたり(実際に数字を出した場合、引っ張られる傾向が多くなる)、ニーズを重視して実現不可能なプランを立ててしまったり、ニーズと採算はあっても人手やスペースやスキルの問題のつめが甘かったりします。こうなるとたいていの場合には、今回の会議の最後のように「うーん、難しい。どうしようか。。」と悩んで終わってしまいます。実はこうした作業をこれまでの事業実施にあたって綿密にしてきたかというと必ずしもそうではありません。プランニングしないで事業実施をしたことはありませんが、そもそもその事業を実施するかしないかを決めるためにプランニングをするわけではないのです。 実施することを前提にプランを立て、実施するうえで明らかになった課題をどうするかを考えるためにプランニングはします。だから、基本的にはやると思って考えなくてはなりません。プランニングで課題が見えるのであれば、その課題をクリアするためにはどうすべきかを考えます。つまり、実現化するための工夫や技や方法を考えるわけです。プランニングしてできそうな事業をやるのなら誰でもできますし、自分たちの都合で事業展開をしていくことになってしまいます。ですから、まずは「やる」と思って考えてください。 「やる」ためには何をどうしたらいいのか、考えてください。 それがNPO事業の事業展開の最大のコツです。ニーズが低いのでれば、それはそもそもやるべきかどうかを検討する必要があります。ニーズが十分にあるのなら、基本的にはやるべきことなのです(ただし、本当に自分たちがやるべきかどうか、また実際にやるかどうかは別の話しですが、地域資源としては必要ということです)。採算性が悪いのなら、採算が合うようにするためにはどうしたらいいのか?具体的には収入を増やすか支出を減らすかどちらかしかありません。人手が足りないのなら、どうやったら人手を確保できるか考えればいいし、具体的に組織にある資源(人や物や技術など)をうまく使えないかどうか、また外部からの支援を得られないかどうか(他のところで実施できないか、外部の支援を受けてうまくできるところはないか、協働でできるところはないか)など、工夫は様々です。

運営とは技術や経験や議論の問題ではなく『どう覚悟するか』しかないを私は思っているのです。