新年度になりました

新年度になったと思ったら、あっという間に半月経っていました!

今年度は障がい福祉サービスの大幅な報酬改定があり、今、まさに体制届の提出のために書類と格闘しているところです。

また、賃金アップの施策推進もあり、計悪的なベースアップを見込んだ給料の計算についてもスピードを求められたり、6月からは定額減税が始まったり(このへんは事務員さんと会計事務所がやってくれるはず)、何よりもBCPの義務化による、各書類の整備など(これもまた私が直接担当ではないのですが、苦労はよく聞いています)、制度の整備が福祉現場の事務担当をいじめているのではないかと思ってしまうぐらいの勢いです。

正式な決算などは5月末ぐらいにまとまりますが、今年度は財務状況も比較的悪くなく終えることができました。

物価高騰でいつまでも高いままのガソリン代、最低賃金のアップなど、経費がかかる話題しかなかった中でしたが、何とか持ちこたえた感じです。

新しい事業がスタートします

今年度、新しく地域づくりに関する事業をスタートすることになりました。

広域相談支援体制整備事業(釧路圏域)です。

これは北海道の事業で、圏域に「地域づくりコーディネーター」を配置するという事業になります。地域づくりコーディネーターとは何かというと、障がい福祉特に相談支援体制を道内各地で推進していく専門的な人材です。いわゆる「ソーシャルワーカー」ですね。

釧路圏域は釧路市、釧路町、白糠町、鶴居村、標茶町、弟子屈町、厚岸町、浜中町の1市6町1村です。

障がい福祉分野の相談支援は計画相談を基本的に作成するのが前提の制度設計のもと、計画を作成する意味での相談の普及は進みました。

一方で、計画作成以外の幅広い意味での相談体制はどうか?というと、サービスに本人を当てはめてしまう側面が強くなりがちだったり、福祉サービスありきの現状が広がる課題もあります。

規制緩和による福祉の市場化が進んだことによる弊害だなぁと思います。

そして、サービスがたくさんできても、重度の人が使えるものはなかったり、地域格差も広がり、不平等がむしろ深刻化してしまう実態もあるのでした。

そんな中で、シンプルに「ニーズ」に目を向けて、ニーズに基づいた地域づくりをしていく役割として「地域づくりコーディネーター」を道内各地に配置している北海道はその実践を誇ってもいいと私は思っています。

また、道内各地の地域づくりコーディネーターの皆さんとは研修等で一緒に仕事をすることも多く、ソーシャルワークの本質を追い求めている人も多いため、北海道の障がい福祉の重要な人材だと言ってもいいと思っています。

そんな仲間に私たちも入れてもらうことになりました。

ただ、今回の事業の実施はNPO法人縁とのコンソーシアムで地域づくりコーディネーターも縁さんから人材を出してもらい、ネットワークサロンとしては、サポート役になるスタイルとなっています。

もともと、ネットワークサロンは「ネットワーク的な動き」をすることが法人の存在意義としてあることから、コンソーシアムで地域づくりを推進していき、その後方支援役を担うスタイルはぴったりだと思っています。

そのような動きがあったことから、年度末には白糠町の自立支援協議会に参加させてもらったり、先日は振興局と地域づくり委員会についての意見交換をしてきたり、何だか久々にちょっと公的な地域づくりの仕事をしている感じがします。

昨年の11月には主任相談支援専門員の研修を受講し、来月から主任相談支援専門員加算の届出もしたので、地域づくりに力を入れていきたいと思います。(これまでもやってきたのですが、久しぶりに物理的な「地域」に目を向けていくことが多くなりそうです。

せっかくなので、繰り返しになりますがプレゼンで提出した企画提案書の一部を紹介します。

企画提案書(抜粋)

基本方針について

地域づくりコーディネーターは北海道障害者条例の理念に基づき、地域の社会資源を有効活用しながら、障がいのある人たちの権利擁護及び家族へのサポート体制を整備することで、北海道が障がいの有無にかかわらず誰もが暮らしやすい地域となるために知識、スキルや経験を総動員する役割と考えています。いわゆる本来のソーシャルワーカーとして、その専門性の発揮が求められる仕事と言えます。

日本の福祉制度においてソーシャルワーカーの業務はサービス等利用計画作成や個別相談に代表されるケースワークがその中心となり、グループワークやコミュニティワークの専門性を発揮する機会は少ない実情があります。その中で、北海道の地域づくりコーディネーターはまさにコミュニティワークを核とした公的な専門職として非常に貴重で、その役割や期待が大きいと考えます。地域福祉の充実は個別支援(小さなケアマネジメント)と地域づくり(大きなケアマネジメント)の両輪がかみ合ってこそ機能します。本事業の基本方針として、個別のニーズに徹底的に寄り添う個別の相談支援の充実地域の社会資源を発掘、開拓、創造する地域ネットワークづくり2本柱と位置づけ、両者を連動しながら事業を進めます。

(1)地域の相談支援体制の構築

相談支援の質については数字で表せるものではないため、その基準が明確ではないことから、漠然とした課題を感じていたとしても、意識化や改善への道筋が見えにくいという課題がある。特に市町村においては、担当者の意識や経験によって相談支援に関する理解に差が生じがちであり、質の向上に対するアプローチが進みにくい要因となっている。こうした課題は圏域に限らず現状の相談支援制度においては起こりがちな傾向であると認識しているが、圏域においては数的に整っているという利点を生かし、相談支援事業所の質の向上を図るため、本人中心や権利擁護をより浸透させるために

①官民協働による相談支援実践スタンダードの確立と普及

相談支援のあるべき姿を整理し、関係者が共有できるツールを開発し、普及させる ※東京学芸大学パッケージ型支援プロジェクトが作成した「スクールソーシャルワーク実践スタンダード(試行版)をモデルとして作成予定

②相談支援専門員向けに理念を確認する学びの機会の提供

③相談支援の実践者支援の場の提供(事例検討や困りごとを持ち寄る場の設置)

などに取り組みたい。

(2) 施設入所者等の地域生活移行に向けた地域づくりの支援

地域生活移行の課題はこれまで「施設から地域へ」が中心的な発想であり、退院促進や入所支援からの地域移行が進められてきた。その方向性も重要ではあるが、地域における相談支援に向き合っていると家族介護が困難になったら入所施設へという家族の意向の根強さを痛感せずにはいられない。グループホームの数は増えているものの、入所施設からの地域移行や用意された共同生活が問題なく送れる限られた人の利用にとどまりがちで、多くの障がい者や家族が望み、安心して「地域の生活」を選択できる状況にはほど遠いと感じている。本事業においては、地域生活移行を「施設や病院から地域生活」という意味にとどまらず、「施設や病院、家族介護前提の地域生活からサポートネットワークに支えられるオーダーメイドの地域生活」と捉え、一人ひとりが希望する生活が実現できるような取り組みを進める。施設待機者という概念がかつてよりあるが、その逆の発想として、施設から地域生活を希望する人に加えて、家族介護前提の地域生活から一人ひとりのニーズに合ったサポートネットワークによる地域生活への移行を希望する人も含めて「地域生活待機者」と位置づけ、その実態を把握して、その待機者のニーズを解消するための地域づくりを推進する。