(3)行方不明の油絵のヒミツ
かつて本部(浦見にあったころ)の1F相談室の壁に一枚の油絵が飾ってありました。小さな油絵で、明るい色彩でお花畑のような風景が描かれています。
この絵は、実はフランスの人気画家「アンドレ バルリエ」さんという方の作品で購入すれば数十万する本格的な油絵なのです。そんな価値のある絵がなぜ事務所にあるのか?といいますと、2000年秋の苦い思い出を語ることとなります。
2000年といえばネットワークサロンがマザーグースの会から独立しスタートしたばかりの年でした。職員もいなく、もちろんお金もなく、事務所は新富町の古いマンションの一室で、しかし地域に必要なものはたくさんという状況で活動をしていたところでした。そんな時にある会社から持ち込まれたのが「現代国際巨匠絵画展」というイベントでした。その会社は福祉事業を行う団体とタイアップで絵画展を実施しているのです。絵や絵画展の実施のノウハウを会社が持ち、現地の準備や実行委員会や当日スタッフなどは福祉団体が受け持ち協力して展示即売会をすることで、会社は絵画を売り、団体は売上げの一部を還元金として得ることができる仕組みです。これまでの実績を聞くとかなりまとまったお金が還元されているケースも多く、時間はあるけどお金のない、世間知らずだった私たちはそんな誘いに乗ってしまったのです。
そして準備が始まって気付きました。こりゃ、やばいと。会社のペースに巻き込まれてしまえば実行委員は言葉巧みに絵を売る販売員になってしまうようにうまく作られていたのです。決してその会社の人たちも悪い人ではないのですが、言いなりになるとどこか騙すような部分がありました。それを途中で気づいた私たちは、裏で「絵なんて無理して売らなくてもいいよ」「めったに見られない絵を見て楽しいだけでいい。本当にほしい人だけに売ろう」と相談しました。結果、その会社始まって以来最低の売上を記録し、いろんな意味でエネルギーを費やした異色イベントを終了したのでした。それでも、手元には 60万以上のお金が入りました。そして、それとともに特別企画のアンドレバルリエ画伯からいただいた本物の油絵も(ご本人が会場に来ていたんですよ)。かくして私たちの手元に残りました。何とも似つかわしくない芸術作品は柏木集会所時代には飾られることなく箱に眠っていたものの、本部が浦見に移ってからは事務所に飾られました。まもなく岩盤浴の壁を飾ることになっています(だんだん格上げ?)。
ちなみにこの絵画展、全国各地で開催され、他の団体では数 100万を得ることも珍しくないとか。ただし、人間関係は相当に気まずくなるそうですが。何事も経験ですね。
※その後、この絵の所在は不明(苦笑)。私が、のりで退職したスタッフにプレゼントしたかも説、まじくるの納戸の書類の山に埋もれている説など、諸説があります。