放課後等デイサービスの環境整備をしました

この春の制度改正で児童のためのサービスの専門性を確保することが求められました。子どもたちの一人ひとりの発達特性や育ちのニーズに応じて、意識した支援やプログラムを提供することがより明確に求められたのです。

ネットワークサロンの放課後等デイサービスぽれっこ倶楽部もそうしたことを受けて、まずは環境を見直して、子どもたちが過ごしやすく、支援する側もしやすいように思い切って意図を持った空間づくりをやることにしました。

6月最初の土日にスタッフほぼ総出で、行われました。

これまで地域活動支援センター親子の家として活用してきたスペースも活用してのことなので、かなりの大掛かりです。

土曜日は一日休業させてもらい職員総出+物づくり部隊(昨年度の助成事業ネストで結成された物づくりが何よりも好きなスタッフ)も大活躍です。

例えば、これまで古典的な押し入れだったところは、ネストのセミプロ部隊の手にかかるとこんな変貌を遂げています。

大きなてんかん発作をしばしば起こす子どもが安心して静養できるように設置しましたが、実は設置してから発作で使うことはなく、ゴロゴロしたい子どもたちの憩いの場になっているそうです。(年度初めのこの時期は学校で疲労や緊張することも多いから、ゴロゴロしたい気持ちもわかる…)

押し入れ(アフター、静養室)
押し入れ(アフター、静養室)
押し入れの写真(ビフォアー)
押し入れの写真(ビフォアー)

私はお昼ご飯の差し入れに行ったのですが、外では高卒新人スタッフが大学生のボランティアさんと組み立て式の机といすに塗装をしていました。

高卒新人スタッフはどや顔で「これ、見てください!私やりました!」と自分で作ったものを見せてきて、ほめてくださいアピール(このへんは、通っている子どもたちとそんなに変わらない姿です…笑)。

勉強机の組み立てと塗装をしている場面の写真

日曜日には、相談からつながった若者が手伝いに来てくれて、建物内に整備した空間をわかりやすくするためのボード作成を担当してくれました。

予定ボードを実際に活用
予定表(若者にオーダーしてカードなどは作ってもらった

今回の環境整備の最大のねらいは建物の中の各スペースを目的別にすることです。

各スペースをこのボードにある「桃」「メロン(は後日なくなったらしい)」「みかん」「バナナ」「りんご」「ぶどう」に分けて、それぞれが何をする場所なのかということを明確にして、自分が何をやりたいのか、交渉したり、選択するようにしました。

これが、「桃」のスペースで、大人気のブランコとおもちゃ遊び、Wiiができるところです(旧親子の家だったところ)。

ダイナミックに体を使ったり、好きなおもちゃで存分に遊んだりと心身の開放や発散が必要な時に主に使うところです。

言葉のない自閉スペクトラム症の子がいち早くこの仕組みを理解して、桃のカードをもって強くアピールします。ただ、他の子どもに譲るときやおやつの時間だったり、もう時間的におしまいの時間だったときに別のカードを渡すとさっと切り替わったそうです。

ついつい、「今はおやつの時間だから、ダメだよ」とか制止の言葉かけをしてみたり、そもそも、いつどこで何をしたらいいかわからない状態であるために混乱したり、その結果、自分の意思を伝えることが難しいとか、感情や欲求のコントロールが難しい子どもだと理解してしまいますが、そもそもわかるような環境にしていないから、そういった行動が出てしまう、あるいはできることもできなくさせられているところがけっこうあるだろうなぁということが再認識されたようです。

とはいえ、子どもたちによって一人ひとりわかり方や伝え方、経験も違いますから、こうした環境整備をしたからと言って完成ではなく、日々の子どもたちの様子を見ながら、カスタマイズしていくことが発達支援の中核なのです。

これは個別支援や宿題や自立課題をやるスペース「バナナ」

こちらは感覚遊びのスペース「ぶどう」

疲れ気味の子どもや刺激過多で落ち着かないときにクールダウンできるところです。

低年齢や重度の障がいがある子どもたちに好まれる感覚遊びですが、発達障がいのある子どもたちでそれほど重度ではない子どもでも気持ちを落ち着かせるためにけっこう効果があります。

玄関の入り口には個別のロッカーが設置されました。

ネスト部隊にリニューアルしてもらった棚

ネットワークサロンが10年以上前に経営していた岩盤浴の脱衣場にあったロッカーが本部1階にたくさん置いてあり、それに目を付けたスタッフがネスト部隊にお願いして、使いやすくちょっと作り直して設置してくれました。

おかげで、子どもたちが到着してから遊び始めるまでの導線がスムーズになったそうです。

本当に隅々までよく考えられていますし、業者に頼むのではなくスタッフで協働してつくり上げている様子をみて「こういう雰囲気いいなぁ」と思いました。

これも、生活介護の方でコンサルタントの支援を受けてきたおかげで、自閉スペクトラムの方たちへの関わりについて本格的に学ぶ機会があったからこそだなと思っています。

空間づくりをしたからと言っても、それで安泰ということはありません。

スタッフの慢性的な不足もあります。放課後等デイサービスは学校に送迎が必須で、似たような時間にいろいろな学校に迎えに行く必要があるため、ヘルプを含めた送迎の手配があります。

また、土曜日や長期休暇は朝早くから利用が必要な子もいて、長時間の営業のためにスタッフの出勤にも工夫も必要です。

子どもたちが安心して過ごせて、持っている力を発揮し、保護者の皆さんの思いやニーズも受け止めながら、一緒に子どもたちの成長を見守り、喜べる事業所づくりをこれからも応援したいと思っています。