ごちゃまぜ感の8月

いろいろな活動が詰まった夏休み。ぽれっこの宿泊研修の様子と、活動に参加している若者たちからのレポートを2つ紹介します。

ぽれっこの宿泊研修

8月は放課後等デイサービスにとっては、ハードな月です。

夏休みで朝早くから夕方まで子どもたちの利用があります。普段は放課後の短い時間ですが、一日いっぱいの活動となると、プログラムを考え、それを実施するのは気力的にも体力的にもハードなのです。

そんな夏休みに今年は思い切ってお盆に1泊2日の宿泊研修を計画しました。

私も重心の長女を連れて、引率の一人(運転手の一人)として一緒に行ってきました。

お盆のスペシャルイベントなので、それほど利用希望はないのではと予想していたのですが、ふたを開けてみると希望者が多く、総勢20名ほどのグループとなりました。

目的地は足寄。

夜にある花火大会をメインイベントとして、青年の家の工作やバーベキュー、外遊びなどを楽しみました。

スタッフは若手も多く、遠方から移住したり、幼少期の環境ではどこかに遊びに行くこともままならなかったスタッフもいたり、援助ホームの若者やインターンシップの大学生も一緒に行ったり、職員が甥っ子を連れていったりと、事業所の行事というより、愉快な親戚ご一行のような雰囲気でした。

今でこそ、こうしたイベントはあまり聞かないですが、制度がない設立当初はいろいろやっていたなぁと思い出しながら、ネットワークサロンらしく型にはまらず、柔軟に挑戦を忘れない取り組みに立ち会うことができて、それなりに大変なところもありましたが、私も現場を体感することができました。

楽しそうな様子の写真を紹介します。

夏休みスクラム活動報告と、釧路での暮らし

こんにちは。

子どもの学習支援(通称スクラム)のスタッフとして活動しています、カナリアです。

普段は放課後の時間に開かれているスクラムですが、夏休み期間は約一週間に渡り、日中にスクラムが開催されます。

この夏休みスクラムについての報告と、釧路に移住して一年の私の暮らしについて紹介したいと思います。

夏休みスクラムには幅広い年齢層の子どもたちが訪れます。

朝10時に集合して、まずは勉強に取り組みます。でも、取り組み方は人それぞれです。

夏休みの宿題を頑張る人もいれば、スクラムで用意したチャレンジプリントに取り組む人もいます。

絵を描いていたり、うたた寝してしまう人も?自分のできる範囲で机に向かってもらって、スタッフはそのサポートをします。

1時間ほど勉強時間を取った後は、自由時間、お昼ご飯、午後の時間へと続きます。

午後の時間は自由だったり、スタッフが予め企画をしていることもあります。

例えば、最終日には毎年恒例ですが焼肉があります!子どもたちにもお手伝いとして入ってもらって、できるだけ参加のできる企画にしています。

また、スクラムにはトランプや様々なボードゲーム、工作キットが置いてあります。

自由時間にはそれらを使って遊んだり、工作したりしています。私はボードゲームでよく子どもたちに勝負を仕掛けますが、戦績は芳しくなく、日々鍛えられています。

そして、子どもたちの送迎後、15時頃からスタッフによるミーティングが行われます。

スタッフ側にとって、夏休みスクラムの大きな特徴はこのミーティングにあると思っています。

ミーティングでは、その日の子どもたち一人ひとりの様子と、彼らとの接し方について振り返ります。

スクラムに来る子どもたちにはそれぞれ様々な背景があります。不登校の子どもや、そうでない子ども、発達特性の有無など。

各々の家庭の事情なども考慮しながら、その日接していて気付いたこと、良かったこと、悪かったことなどを共有します。

スクラム中、私は子どもたちとの交流そのものに大きく意識が割かれていて、他に注意が向かないことが多々あります。

そのため、自分たちと別のボードゲームをしていたグループではこんなことがあったとか、勉強時間中のこの行動が気になった、などの意見が出る度に驚かされることが多いです。

このミーティングは、自分自身の言動や判断に対する振り返りにもなります。

別のスタッフの方に対して私はこのような先入観を抱いていたんだな、とか、ある出来事に対して私と別の人とでは見方が違っていたな、などの発見があります。

ミーティングによる情報共有や振り返りを通し、次の日に、ある子どもへの接し方を見直してみたり、見守るときの思考に少し変化を入れてみたりします。

普段のスクラムも同様の繰り返しですが、夏休み期間はこのサイクルが早く、大変です。

でも、いつもより密度の濃い日々を子どもたちも、スタッフの皆さんも感じられていると思っています。

夏休みスクラムの報告は以上です。以降は釧路での暮らしを簡単に紹介します。

私が釧路に移住してきたのは去年の八月なので、釧路へ来てちょうど一年になります。

今はコミュニティホーム大川の一室を借りて、併設のグループホームの介助の手伝いなどをしながら生活しています。

元々は九州の出身のため、雪をほとんど見たことがなく、釧路で初めての冬には驚かされるばかりでした。

興味本位で雪かきをしていましたが、コミュニティホームの人にはすごく熱心に雪かきをしてくれる人に映っていたようです。

ここに来て一年で、自分の内面はだいぶ変わったなと思っています。自分自身について考える機会の多い場です。

コミュニティホームの人たちともようやく言葉を交わせるようになって、今後一年も忙しくなりそうです。

それでは、ここまで読んでいただきありがとうございました。

釧路滞在記録

今回、私は休眠預金事業のダブルマイノリティに関する事業の一環で、釧路市内にある事業用の生活拠点に19日間滞在しました。滞在記を書くことを提案されたのが自宅に戻ってしばらくしてからなので、記憶力が低い私は穴だらけの日記を見つつ、振り返ってみようと思います。

まず自己紹介が必要かと思うのですが、私がなにの当事者なのか、と言われると考え込んでしまいます。マイノリティ要素としてあげられそうなのは、注意欠陥多動症、気分障害の診断があること、定義上セクシュアルマイノリティであること(「定義上」と書いたのは、分類すればどう考えてもクィアであるものの、分類する用語の中で自分に合う言葉が見つからず、また私にとってそれらがあまりアイデンティティの中心にないからです)、家庭環境に起因するトラウマ的な症状があること……かな。あと、体調が基本的に悪くて、体力がものすごくないです。

ネットワークサロンとの関わりを振り返ると、2020年に希死念慮がひどかったときにSNS相談をして、そこから「死にトリ」を知り、経験談を送り、気づいたらネットワークサロンの拠点に住んで仕事をしていました。釧路に住んでいたのは2年間くらい。その後、2022年に地元に戻って、いまも遠隔でちょこちょこネットワークサロンに関わりながら暮らしています。

さて、釧路滞在について。今回の釧路滞在は久しぶりのことでした。その中で「私がどう過ごしたか」と「自分にとってどういう日々だったか」を思いついたままに書きたいと思います。

・ダブルマイノリティの打ち合わせ

滞在の中でやったことのひとつは、ダブルマイノリティの活動の打ち合わせです。題材は制作する動画についてで、登場するキャラクターはどんなのがいいか?どんな内容の動画か?そもそも誰に向けて?などなどを話しました。体育座りをして壁にだらーっともたれかかりながら喋ってもだれもなにも言わない(なんなら寝転がっていてもなにも言われない)場所なので、とても気楽です。発達あるあるかもしれないのですが、私はとても体幹が弱くて、ずっとちゃんとした姿勢でいることが難しいのです。

キャラクターの中には地球上の知られる生物もいれば、そうでないものもいて、いい感じ!と思いました。

・公立大学の授業

ネットワークサロンのメンバーの一人として、公立大学の村上先生の授業にも参加させてもらいました。ヌスバウムのケイパビリティのリストを元に学生さんたちと話し合うワークショップで、12人くらいの学生に対してサロンからは8人参加し、3チームに分かれて学生に混じって話しました。私はしゃべりすぎないように気をつけていたものの、結局は結構しゃべっちゃったなぁと思うのですが、いろいろな項目について学生さんたちの言葉を聞きつつ具体的に検討するのはおもしろかったです。

・大川で打ち合わせ

普段、釧路にいる人たちと遠隔で打ち合わせをすることはあるのですが、対面だと、なんというか情報量が多いなぁと思いました。

ネットワークサロンの仕事に関して打ち合わせをしに大川の拠点に行ったら、釧路に住んでいたときにお世話になった職員さんや、死にトリで関わったことがある人と会えたり、今大川で暮らしている若者と会えたりして、うれしかったです。

「いろんな人がいる」ことを感じられる機会は一人暮らしの都市部生活ではまったくと言っていいほどないので、こういうところがいいなと思います。

翻っていうと、都市部生活でもいろんな人と関わるには、とても積極的に能動的に探し求めなければいけないように思います。そうでないと、すぐに似た属性の人としか関われなくなって、気づかずに自分の世界や「当たり前」をすごく狭めている。そのことがとても怖いです。でも、がむしゃらに誰とでも関わればいいというわけでもないし、むずかしいなぁと悶々としています。私に体力や気力やお金などなどなどなどなどのリソースがあれば、もう少し違うのでしょうか……。

・散歩

散歩が大好きです! 釧路の夏はとても涼しいので、日中はよくだらだら散歩をしていました。私の住んでいる地域では、日が出ている間に散歩なんて不可能なので、とてもうれしい。春採湖の周りを散歩するのも気持ちよかったです。ある日、散歩中にぼんやり海を見てのんびりしていたのですが、帰ったら一日でTシャツの線が残るくらい焼けてびっくりしました! 釧路の夏にはあんまりぱきっとした晴れがなくて、霧と曇りの日々だけど、ちゃんと紫外線は飛んでいるみたいです。

もうとにかく気候が快適すぎて、歩くのが楽しくて、釧路の賃貸情報を毎日検索し続けていました。これを自宅で書いている今は9月上旬の20時ごろですが、私の部屋はエアコンをがんがんに効かせてもすぐに汗ばむような暑さで、どこでもドアさえあればこの瞬間に釧路に行きたいです。

・窓を開けて過ごす

対面でいろいろしゃべる機会は増えるけれど、なにかプログラムがあるわけでもないので、基本的にはのんびりと生活をしていました。ごろごろしたり、通話したり、ゲームをしたり、仕事をしたり、悲しんだり、ぐったりしたり、地球について考えたり、いろいろしながら、窓からの風を感じて過ごせるのはいい過ごし方のような気がします。

・視覚ノイズ少なめ

今回は50平米を超える2LDKの部屋に一人で滞在していたので、十分以上の広さがあり、スーツケース一つ程度の荷物では、どんなに散らかしたって大したことがなくて、それもとても気楽でした。片付けが得意じゃないのに、視覚情報がノイズになりやすい性質なので、狭い中にものが詰め込まれているような場所だと、それだけでぐったりして頭が動かなくなってしまいます。その意味でも、この滞在場所は私にとってとても過ごしやすいところでした。

・逃げられる場所

生きていると、基本的に窮屈で、私は大抵いつもどこかに逃げたいと思っています。日常が同じであるだけで、負担が日に日に増していくという認知をしているので、日々同じ暮らしとは苦痛の象徴です。

その結果として、私は10年くらいで15回以上引っ越しをしていて、釧路から地元に帰ってきた後の2年間でも、今住んでいるところは3つ目の部屋です。現在の部屋に暮らし始めて数ヶ月ですが、月に数回は大幅な模様替えをしています。そうするとすこし落ち着くので、できるだけいろいろな家具にキャスターをつけて動かしやすくしています。

現代日本は定住が前提になっていて、移動するのにはとてもお金がかかります。引っ越すのにはもっとすごくお金がかかります。それは私みたいな人が少なくて、逃げることは「我慢すべきこと」だと思われているからだと思います。土地には所有者がいることになっているから、その中で勝手にゲル(モンゴルの遊牧民の移動式住居のこと)を持って生活するわけにもいかないし、体力もお金も余力もないので、しぶしぶ定住のような形を真似て私は暮らしています。そんな中で釧路に逃げ出せることは私にとってとても助かることだなぁと思います。

おしまい。