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新着情報 : 代表理事就任のあいさつ
投稿者 : jimukyoku 投稿日時: 2018-02-13 00:59:58 (1012 ヒット)
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代表理事就任のあいさつ

NPO法人地域生活支援ネットワークサロン
代表理事 日置 真世

ネットワークサロンは2000年に発足して今年で18年目を迎えていますが、去る12月19日に臨時総会を開催し、大きく運営体制を変更しました。それに伴い、1月1日より私が代表理事に就任しました。
長い間、法人のホームページは情報を伝える媒体として力を発揮することができずにいましたが、これを機に、必要な情報発信をしてきたいと思っています。まずは、今回、大きく運営体制を変更した背景について少し長くなりますが、説明したいと思います。

私は2000年に法人を立ち上げたメンバーの一人です。今年で26歳になる長女が重度の障がいがあることをきっかけに障がい児をもつ親たちの会「マザーグースの会」の活動に関わるようになり、仲間たちやいろいろな人たちに支えられて共にこのNPO法人を立ち上げました。2008年までは事務局代表として直接法人運営に携わっていましたが、2008年以降は非常勤理事あるいは事務局顧問として運営の後方支援をしてきました。現場を退いた際には創設者としての自分自身の役割は終わり、この先もずっと後方支援の立場でいるつもりでいましたが、想像を超えて法人運営が厳しくなったこと、その背景に今、地域や福祉現場が直面している深刻な課題があると感じ、その課題に、向き合わなければ我が子の将来の展望が見えず不安が大きくなるばかりなので、この度、代表理事として、釧路の地域づくりの現場に戻ってくることにしました。3月までは現在の仕事を抱えているため、直接現場に関わる機会は限られますが、情報発信や話し合いの機会の設置など組織の仕組みづくりなどに取り組み始め、4月からは本格的に関わることができるように準備を進めているところです。
2000年に地域のニーズと力で創設された法人が、今直面した状況は、一つの法人の課題としてではなく、今私たちが直面している社会の中のさまざまな課題を反映したものだと考えていますので、広く共有したいと思い発信することにしました。
そのためにまずは設立当時からの福祉をめぐる流れを簡単に説明させてください。

ネットワークサロンを設立した当時は釧路に障がい児者やその家族が利用できるサービスはほとんどなく、今のように福祉制度も整っていませんでした。親亡き後の不安はもちろんのこと、それ以前に障がいがあるから仕方がないと諦めていることもたくさんあるのが当たり前だったのです。親の会活動を中心としていろいろな人たちとつながることができた私たちは、そんな現実はすぐに変えられるわけではないけれど、せめて諦めることなく自分たちの希望や困っていることを語り合える関係性や場をつくろうとネットワークサロンを設立しました。制度も整っていなかったことから、職員もいませんでしたが、いろいろな人たちが集い、困っていることや知恵や意見を出し合い、できることがあれば手探りでいろいろな人たちとともに少しずつ取り組んでいきました。学生さんを登録した有償ボランティアのシッター派遣、夏休み冬休みの子どもたちの預かり、養護学校高等部第一期生の卒業後の行き場の確保なども進めてきました。どれも具体的な一人の声や希望がきっかけや後押しとなり、多くの人たちの力や知恵を借りて実現したものです。手探りで進める中で少しずつ職員も登場していきました。

そんな中、2003年に障がい福祉制度は大きな転換期を迎えました。支援費制度がスタートし、法人格をもっていれば福祉サービスを事業として実施できることになったのです。先駆けて取り組んできた事業に制度の力を借りれば安定した法人運営ができることになり、雇用の職員は一気に増えました。また、事業展開もそれまでとは比べものにならないぐらいスムーズに進めることができるようになりました。ただし、当時はまだ制度が始まったばかりの障がい福祉事業に着手する法人は多くはなく、先駆者となったネットワークサロンが多少無理をしても、事業を増やしていきました。そうして増えていったのは法人に力があったというよりも、地域のニーズや協力に支えられていたことが大きいと思っています。事業所や職員が増えることで、法人としての底力はついていきました。そして、その力を制度では対応できない隙間やうまく福祉サービスには該当しない困りごとを解決(地域づくり)に活用していきました。地域づくりと福祉サービスを両立することで、困りごとを埋もれさせずに、地域とともに考えていく役割を果たそうとしてきたのです。その中で、コミュニティハウス冬月荘の誕生、そこから生活保護世帯等の中学生の学習支援事業が地域の人たちとともに開発され、先駆的な事業として評価され、その後の地域の多様な人たちへの就労支援である地域起業創造センターまじくるの取り組みや暮らしの共済サービス「せっせ」の創出、多様な人たちが社会とつながるツールとしての農園の運営などにつながっていきました。

しかし、ここ数年の時代、地域の変化の中で、たくさんの事業所や人を抱えながら、地域づくりと多くの福祉サービスを両立するための法人運営は難しくなりました。多様な背景や思いの人たちがそれぞれの事業所で働くことは意思疎通を難しくし、法人としての理念の共有や確認、人材育成や労務管理など管理面への対応になかなか手が回らなくなりました。全体を把握し、地域のニーズを踏まえた先駆的、実験的な事業を継続するための資金調達や情報収集、意見や知恵を出し合いながら運営する体制が保てなくなり、利用者さんや地域の関係者と協働する場面も少なくなっていきました。その中で地域づくりのモデル事業は年々縮小、廃止することになりました。
その背景には福祉サービスが拡大し、営利企業もどんどん台頭する中で、市場化してしまったことがあります。また、様々な業界で深刻化する、慢性的な人材不足もあります。もう少し広い視野で考えると、変化が激しく課題が山積みの今の時代において、組織や会社を理念と責任もってマネジメントしていく人材が育たない教育の問題もあるのかもしれません。比較的参入しやすい通所系のサービスは数がどんどん増える一方で、運営が難しい重度の人への支援やショートステイ、移動支援、グループホームなど個別的で臨機応変な対応が必要なサービスはなかなか増えません。増えないどころか、安定的な事業に影響が出るため、むしろ避けられる傾向にあります。また、サービスが市場化されるほど、事業所は閉鎖的になり、地域社会とのつながりや理解、連携からも遠ざかっていきます。行政の役割や関わりも間接的になり、親の会の活動や働きかけが力を発揮する場面も少なくなっています。福祉サービスが便利になったことで、仕事としてのケアをすることがスタンダードになり、家族や関係者、地域のいろいろな人たちと一緒に障がいを持つ人たちの人生や生活を制度外の対応も含めて考える機会は本当に少なくなりました。
私は国の福祉施策の動きを知る機会も多く、道の福祉人材の育成にも関わる中で、このまま障害福祉サービスが増え続け、安心して運営できる状況が続くとは思っていません。社会保障費には限度がありますし、人材不足も解消される材料がありません。制度の趣旨や変化を理解し、行政や利用者、地域の理解を得なければ事業運営が厳しくなるものと思っています。

この後は、ネットワークサロンが直面している現状について具体的に説明します。
ここ数年、事業所ごと職員が退職し、新たな事業所を立ち上げ、利用している人たち必然的に移るというスタイルの独立が続きました。過去にも職員が独立していくことがありましたが、いずれも法人としても必要性を感じ、応援してきた経過もありました。そうした独立はかなり前に法人に相談があり、協議を行い、タイミングやプロセスを確認し、利用者さんに事前説明会も開くなど透明性のある方法でした。それが、NPO法人という公益性の高い法人の責任でもあります。しかしながら、昨年度、今年度と連続している放課後等デイサービスの事業所の相次ぐ独立はそういったプロセスを経ずに行われていきました。独立していった職員がNPO法人の趣旨への意識が薄かったこともありますが、法人としても、そうした動きがあった際に、公益性や透明性を確保した対応や説明ができていなかったことも反省点としてありました。そうした反省を踏まえ、今年度の総会において職員配置や利用者に大きな影響を与える独立に関しては法人として「独立対応窓口」を設置し、利用者さんや支援現場に負担や迷惑をかけないように公益性を保つ対応をするための体制を作りました。しかしながら、そうした対応も後手に回り、放課後等デイサービスの事業が6月で2か所廃止するに至りました。ここまでは、経営責任のない職員が中心となって行ったことであり、法人としての対応も遅れたため、やむを得ないと思っていたところですが、この度、経営責任のある理事や事務局という立場の者が法人の主要な役職を持つ職員とともに、公式な事前協議なく、新しい法人を立ち上げ、法人の事業を廃止せざるを得ない形で事業をスタートさせるという事態が起こってしまいました。
その背景には、今回独立に至ったメンバーがここ数年、責任が重い役割を担い過度の負担がかかっていたことも理解しています。また、そうした重圧から解放される方法として法人の事業を引き継ぐ形での独立も可能との見解を示し、公正で妥当な手続きをするよう働きかけもしてきました。しかし、結果として公式な相談や協議を経ずに進めてしまい混乱を招いたことは残念と言わざるをえません。また、進める時期や方向性など全体像について事前に相談がなく、主要な職員の退職の話だけが急展開で進んだことから、今後の事業運営体制のめどを立てることもできず、利用者のみなさんや関係機関への説明もすることがでないまま、時間が過ぎていきました。悪意がないことも理解し、何とか正式な申し入れや正当な手続きについて待っていたところでしたが、これ以上、引き延ばしては影響が大きくなるだけだと考え、12月19日の臨時総会において役員を再編成したのち、協議の場をこちらから設定する中で、ようやく事態の把握が進んだところです。

法人運営の課題は今回のことだけにとどまらず、ここ数年サービスの質や利用者さん、関係機関との連携や協働にも少なからず反映され、虐待事案の発生、苦情の申し立て、行政機関からの指導など様々な形の不手際や不安となっていたことも把握、理解しています。今回の出来事を機に、本来の法人の趣旨に立ち戻り、様々な人たちと対話と協働をしながら、再建に全力を尽くしていきたいと思っています。
 
今回の動きに伴い変更があった事業について

上記の状況に伴い廃止や変更があった(もしくは予定)がある事業について以下の通りお知らせします。

〇第2ぽれっこ倶楽部
児童発達支援管理責任者の退職とそれに伴う他の職員の退職希望もあり、継続の準備が整わず、2017年11月末で事業を廃止しました。

〇第3ぽれっこ倶楽部
児童発達支援管理責任者の退職に伴い、他の職員も全員の退職意向があり、今の形を継続することは困難となります。橋南地区において児童発達支援事業及び放課後等デイサービスの継続は必要だと考えていますので、4月以降も継続して希望者にはサービス提供できる体制を検討中です。

〇生活介護事業所 ぽれっと
サービス管理責任者が退職しますが、新しくサービス管理責任者を迎え、体制の強化等を進める予定です。

〇介護ステーションPASS
サービス提供責任者の退職に伴い、他の男性ヘルパー2名の退職の意向等により現体制でのサービス提供は2018年9月までとなります。10月以降の新体制に向け、利用者のみなさんの意向を確認しながら、必要量のサービスを確保するために人員を補充し、規模は縮小すると思われますが10月以降も事業を継続します。

〇自立援助ホーム カムイ
ホーム長等の退職に伴い、他の2名の職員からも退職希望があり、新しい援助ホームに転職することがわかりました。また、それに伴い、入居中の利用者へ転居の相談をすでに進めてしまっていることなどから、4月から職員体制をすべて新しくし、新たな利用者の受け入れを行い、徐々に新たなニーズに対応していく予定です。

〇グループホーム ポレスト 及び ショートステイ
グループホームやショートステイの夜勤等へ兼務で入っていた職員が多く退職することに伴い、夜勤体制を中心に人員の確保が極めて困難となります。利用者及び関係機関とよく話し合いを行い、拠点数の縮小を進めていく予定です。また、ショートステイはニーズが高いにもかかわらずお引き受けできない状況が続いていたところでしたが、さらに厳しくなる見込みです。現状の支援を維持するための人員や体制は早急に確保しつつも、今後に向けて地域の関係機関と協議をしながら、また利用者の皆さんとにも力や知恵を借りながら、新たな支援体制の構築を検討していく予定です。法人の力だけで何とかしようと思っても、現実は厳しく、職員にも大きな負担がかかってしまいますので、たくさんの人たちの力や知恵を借りて解決したいと思っています。

 2月2日にようやく利用者さん及び家族のみなさんへはお便りで状況の説明を行い、現在、職員の個別面談と関係機関への説明にまわっているところです。その機会は同時に現場を担っていく職員や地域の関係者、法人の役員、利用者さんの家族などと直接、話をしながら、現状の共有やこれからに向けて意見、希望や期待、アイディアを交換する貴重な機会となっています。そうした人たちとの関わりの中で、次第に前に向かって進む気持ちが強くなっていますが、今後の福祉や地域づくりの行く末に不安もあります。

 今回、合意形成や協議のプロセスなく組織の共有財産が簡単に一部の人たちの私有物のように取り扱われてしまうこと、また、組織の構成員としての礼儀や道理が通じないことに直面し、想像以上に地域社会における公益性の基盤が揺らいでいることを痛感しました。民間企業含めて福祉事業への参入が急速に増えている一方で担うべき公共性への意識や社会福祉の理念、市民としての役割は大きな危機に直面しています。
今だからこそ、福祉の根底にある公益性、公共性など「公」の意味を問い直し、「私の生活」から「私たちの生活」という視点や発想をひろげ、さらには「私たちの生活」を支えている社会の理解や意識を深めることが求められています。地域に支えられてきたNPOとして、もう一度、多くの人たちとネットワークを作りながら、知恵を出し合い、ともに育ちあい、私たちの地域、社会、暮らしと向き合っていきたいと思います。


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